第74番 宝蔵寺
詳細
●本尊/地蔵菩薩 ●開山/不詳 ●創建/室町時代
●所在地/徳島県名東郡佐那河内村下中溝38 ●電話(088)679-2605
紹介
【略縁起】
園瀬川流域に拓けた佐那河内村の特産に“すだち”がある。 飽食時代にその涼味がもてはやされて栽培も盛んになった。
岬岫の里に天一神社がある。由来を問う術もなかったが、嵯峨川を挟んで宝蔵寺があった。鐘楼堂を構え、再建の御堂が光芒をあびている。地蔵堂もあった。縁起は定でないが、説に室町時代という。
そこで、寺号から縁起譚を考察してみよう。宝蔵は宝のくら、宝蔵如来の住地を現す。この仏の別名を無諍念王といい、無情地に転じて地蔵菩薩を安置する。本尊、地蔵菩薩はこの説に由来する。信仰は平安時代に興る。小野篁が冥府より還り、信心を鼓吹したという。篁は歌人、始め嵯峨天皇の忌謂にふれて隠岐へ流され、召還あって蔵人頭に昇位した。 そういえば此処には都の地名が多い。或は宝蔵寺の創建に由来するのかも知れない。夢を秘めた僻邑である。